【aftersun アフターサン】思い出に日焼け後のローションを塗るような|映画レビュー

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今回レビューする映画はこちら。

aftersun アフターサン

映画紹介

まだこの映画を観ていない方は、こちらの記事をご覧ください。

ざっくりレビュー

ここから先はネタバレがあります。まだこの映画を観ていない方はご注意ください。

画像引用元:映画.com

臆さずに言おう、正直つまらなかったと。
エモい雰囲気と綺麗な映像と音、そしてお洒落な映画のポスターは好き。
ソフィも可愛いし。
高評価だっただけに期待値が上がり過ぎてたのかも。

もう少し大人になってから観たら、また違った感想になるのかな。
子どもの時に見ていた父親の姿大人になってから思い出す父親の姿。
すごく大きく感じていた父親も、時には悩んだり、時には泣いたりして、当たり前だけどひとりの人間だったんだよね。
31歳になったソフィもきっと同じことを感じてたんだと思う。
ただ、如何せんわかりにくい!
ストロボのシーンが何回か出てきて、ソフィやカラムがチカチカしてるんだけど、何が映ってるのかよくわかんない。
刺さる人には刺さりそうだけど、ほとんどの人はストーリーがよくわからんってなると思う。

感想・考察・おすすめポイント

1.美しい映像と音で魅せる映画

画像引用元:映画.com

とにかく映像が美しい。
映画の撮り方も素敵。
特に、映画序盤の寝息の音だけのシーンが好き。
ベランダで煙草を吸うカラムとソフィの寝息の音だけ。
本当に何気ないシーン。
でも、なんか好き。
この映画はそんなシーンが多い気がする。

映画後半のポラロイドだけを映してるシーンも好き。
画面に映ってるのはポラロイドだけ。
じんわりとソフィとカラムが浮かび上がってくる。
「いい休暇だった?」
「今までで一番。もっと長くいたい」
「そうだね。何だよ?」
「できないの?」
「何が?」
「もっといようよ。でも、一生はいられないね」
「ウエハースあげる」
「それはどうも。ひと口で食べろよ」
笑い合う2人。
そうか、これが幸せか。

所々に散りばめられているビデオカメラの映像もエモい。
映像自体は汚いんだけど、それがまたいい味を出してる。

あと、音の使い方も素敵なんだよね。
波の音、蝉の音、無音。
音楽も主張し過ぎず、じんわりと聴かせる感じ。
最後のエンディングの入り方とか震えたよ。

ストーリーは賛否ありそうな映画だけど、映像と音は最高だと思う。

2.カラオケ大会のシーンで胸がキュッとなる

画像引用元:映画.com

「では、ソフィとカラムに盛大な拍手を」
ソフィはカラムに内緒でこっそりとカラオケ大会に申し込んでいた。
「無視してろ、僕は歌わない」
「パパの好きな曲よ。休暇なんだし」
「僕はやらないよ」
頑なに拒むカラム。
仕方なくひとりで歌い始めるソフィ。
歌いながらもカラムに手招きするが、腕を組んだまま動かないカラム。
結局そのまま歌い終わってしまう。
「歌のレッスンを受けさせてもいいぞ」
「歌がヘタと思う?」
「頑張れば誰でも学べる」
「やめて」
「何を?」
「お金もないのにそんなこと」
いじけるソフィ。
あーあ、気まずい雰囲気に。

このシーンは観てて胸が痛くなった。
ソフィだって歌が歌いたかったわけじゃない。
父親と一緒に歌いたかったんだと思う。
しかも、席に戻ってきたら嫌な冗談を言うカラム。
空気読んでくれよ、カラム。
さらには、ソフィをおいて先に帰るという愚行。
無事帰れたからよかったけど、何かあったらどうするんだよ。
父親失格だぞ、カラム。

次の日、ソフィに謝るカラム。
「すまなかった、昨日は…」
「別に気にしてない」
「僕は気にする。本当に悪かった」
どっちが子どもなんだか。

3.ソフィには見せなかったカラムの苦悩

画像引用元:映画.com

ソフィは大人に憧れる11歳って感じ。
自分より大きい子達と遊びたがったり、ビキニを着たり。
恋愛にも興味津々で、映画の中でもキスシーンがたくさん出てくる。
ソフィも小太りマイケルとキスするし。
羨ましいぞ、マイケル。
てか、ソフィとマイケルがキスしてる時にプールの天井の窓を叩いてるのってマイケルの友達?
ちょっと怖かった。

反面、カラムは少し子どもっぽいというかなんというか。
カラオケ大会の時もそうだし、スキューバダイビングの時もソフィが高価なゴーグルをなくして落ち込んでしまったり。

カラムの誕生日にソフィがまわりの大人達に声をかけ、フラッシュモブ的な感じで歌のプレゼントをした時も無表情のカラム。
映像は徐々にフェードアウトし、ベッドに座って泣き崩れるカラムの背中が映し出される。
これはおそらく大人になったソフィが想像している父親の姿。
ビデオカメラには映っていない父親の弱い部分。
カラオケ大会でソフィと別れた後、暗い海にひとりで入っていくシーンも然り。

実際、親の泣いている姿ってあまり見たことないけど、親だって人間だもんね。
辛い時だってあるだろうし、泣きたい時だってある。
その姿を子どもに見せてないってだけ。

おそらくカラムはこの旅行の後に亡くなったんだと思う。
亡くなった理由まではわからないけど、何かに悩んでいたのかな。
“あなたを知るには幼すぎた”
“あの時、あなたの心の声が聞けたなら”
31歳になったソフィがビデオカメラの映像を観ながら旅行のこと、亡くなった父親のことを思い出してるんだと思うと、本当に切ない。

思い出は朧気でも美しい。
そんな映画でした。

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