こんにちは、ただの映画好きのJBです。
この記事では、映画「林檎とポラロイド」をネタバレありでレビューします。
主人公の男が抱えている秘密とは、男が最後に林檎を食べた理由とは…
気になった方は、ぜひこの記事を一読してみてください。
映画紹介
まだこの映画を観ていない方は、こちらの記事をご覧ください。
ざっくりレビュー
ここから先はネタバレがあります。まだこの映画を観ていない方はご注意ください。
めっちゃ好き。
静かでエモい雰囲気が漂う映画。
ポラロイドを意識した画角も素敵。
撮り方もいちいちお洒落な感じがする。
主人公の男は無口だけど、どこか憎めない。
一生懸命で不器用な姿にクスッとさせられる。
自転車で爆走してるところとか宇宙服のコスプレしてるところとか、みんな絶対口角が上がっちゃうと思う。
ただ、映画のラストで男の見方が大きく変わる。
あのシーンはそういうことだったんだとひとつひとつパズルが解けていく感じ。
で、もう1回最初から観たくなる。
感想・考察・おすすめポイント
1.おじさんが可愛い!?
このシーンで一気に主人公の男を好きになった。
自転車を借りようと青年に「ちょっといいかな」と声をかけるんだけど、「だめだ、貸さない」と秒で断られる。
貸してとも言ってないのに。
で、物悲しい表情。
次に女の子から自転車を借りるんだけど、見ての通り自転車が小さすぎる。
その小さな自転車に跨って爆走。
俺はここで爆笑。
真剣な表情で自転車に乗る姿がシュール。
盛大にこけた後、かっこつけて写真をパシャリ。
ちょっと気になったのは、最後に女の子に自転車を返す時。
なんでもう少しだけ自転車を持っててあげないのかな。
そのせいで自転車を豪快に倒す。
でも、そんなとこさえ愛おしい。
2.○○○のコスプレがこんなに可愛いなんて
このシーン、最初、主人公の男がどこにいるのかわからなかった。
途中で画面外に出ていっちゃうし。
なんか撮り方がちょっと独特な感じがする。
仮装パーティに参加するために男が選んだコスプレは宇宙服。
みんながバットマンとかキャットウーマンに扮している中、まさかの宇宙服。
家で宇宙っぽい動きを練習してるシーンが本当に可愛い。
ヘルメットしてるからカセットテープの最初のところが聞こえなくて巻き戻すのとかたまらん。
てか、途中から思ったんだけど、ミッションの内容が異性とくっつけようとしすぎじゃない?
医師の趣味なのかな。
3.男の秘密
最初に違和感を感じたのはこのシーン。
隣のベッドにいる男から頭の芯に痛みがあったと聞き、次の日、医師へ同じように話す。
ん?
昨日聞いたことをそのまま言ってない?
次に違和感を感じたのはお店で林檎を買おうとした時。
店主に住所を聞かれ、口をついて出たのは記憶喪失になる前の住所。
少しずつ記憶を取り戻してる?
その後も近所の犬の名前を憶えていたり、ラジオから聞こえる歌を口ずさんだり、154数えると4分と言われ笑ってしまったり。
何かが引っかかる。
余命わずかな病人を見舞うミッション。
「君は恋人はいるのか?結婚は?」と聞かれた男が、少し間をおいて「してました。妻は死んだ」と答えた時にドキッとした。
男は記憶喪失になったんじゃない。
妻の死を受け入れられず、妻のいない現実から逃げ出したくて記憶喪失のフリをしていたんだと思う。
病院からの帰り道、カウンターで夕飯を食べる男の後ろでダンスをする男女。
異性をダンスに誘うのも“新しい自分”プログラムのミッションの1つ。
そんな2人をじっと見つめる男の表情がマジで切ない。
次の日、病人は亡くなっていて、お墓の前で泣いている親族の姿を遠くから見つめる男。
これまでずっと不器用で可愛かった男の表情とは違う。
花束を手に、男は“アンナ”と彫られたお墓の前に立つ。
おそらく亡くなった妻のお墓。
ここに戻ってくるまでにだいぶ時間がかかったんだと思う。
お墓に活けた花束が枯れるくらいに。
改めて観返すと、バスに乗る前に花屋で花束を買ってるんだよね。
部屋にも枕が2つあったり、女性の服がかかっていたり。
映画の冒頭、男が壁に頭をぶつけていた意味もわかる。
4.林檎を食べなかった男が最後に林檎を食べた理由
「林檎5~6個で下痢はすっきり。記憶力の低下も防げるとか」
店主からそう言われた男は、ずっと林檎ばかり食べていたのに急にオレンジに変える。
これも本当は記憶喪失じゃないって伏線だよね。
記憶力の低下を防ぎたくないってしてるじゃん。
で、映画の最後に男は林檎を食べる。
ここのシーンがかっこいいんだ。
妻を失った悲しみから目をそらしていたけど、妻を忘れたいわけじゃない。
忘れたくない大切な思い出もある。
だから、また林檎を食べたんだと思う。
きっと男は本当に妻のことが好きだったんだよね。
女性が絡むミッションはしれっとスルーしてたし。
本当に最初と最後で男の見方がガラッと変わる。
5.キャッチコピー
この映画のキャッチコピーは「哀しい記憶だけ失うことはできませんか?」。
今思うと若干ネタバレな気もするけど、素敵なキャッチコピー。
コメント